アメリカとカナダ国境にある、
PCT Northern Terminusに到着しました。

何を感じたかといえば、
もうすぐ旅が終わってしまう寂しさと、
「ついにここまで歩いてきたか」という達成感、
「自分の旅はまだ終わりではない」という達観的感覚でした。

ターミナスに到着するハイカーの多くは、
泣き叫んだり、踊ったりと感情を爆発させています。

僕はそんな彼らの様子をしみじみと、
十分に見守ったのちターミナスを後にしました。



実はターミナスに着いた瞬間よりも、
ターミナスへと向かう道のりが僕には嬉しい時間でした。

今年からPCT経由でのカナダ入国が禁止された関係で、
全てのハイカーが国境到着後はトレイルを30mileほど引き返して街へ降ります。

これにより生まれたカルチャーがありました。



ゴール前と後のハイカー同士が
「Congratulations!!(おめでとう!!)」
とお互いを讃え合い、そしてグータッチしてすれ違う。
そんな素敵なカルチャーです。

中でもいつかの街やトレイルで、
顔を合わせた覚えのあるハイカーとの再会は、
ひとしお嬉しいものがあります。



でも見ず知らずのハイカー同士でも、
みんな自分事の様におめでとうと祝ってくれますし、
あるハイカーに至ってはすれ違いざまに、
Queenの「We Will Rock You」を熱唱してくれました笑

すれ違うハイカー同士、声と手を合わせて、喜び、
お互いを讃えあう経験はワシントンの荘厳な景色も相まり、
間違いなくSaikou!(最高)の思い出となりました。



メキシコ国境からカナダ国境への歩き旅。

言葉で言えば簡単ですが、
そこには1人1人、筆舌に尽くし難いほど、
沢山の思い出があるはずです。

4か月間歩く事に向き合い続けて痛感しますが、
トレイルを歩き続けるという事は、
決して簡単ではありません。

PCTを歩くハイカーは毎年5,000人ほど、
もちろん全員が歩き切れる訳ではありません。

事実として同日にスタートしたハイカー5人の内、国境まで歩き続けたのは自分1人だけになってしまいました。

怪我や病気、お金や仕事など、理由はそれぞれですが、なくなく中断せざるを得ない人の姿も目の当たりにしました。



時に楽しく、時に怒り、絶望し、
また喜び、時に涙を流したり、
そして、また笑顔を取り戻したり…。

そんな苦楽を超えてきたハイカー達が、
すれ違いざまに交わすグータッチと、
「おめでとう!」の言葉。

その瞬間、
人種や国籍、言葉の壁すら超えた、
"絆"の様なものを、僕は確かに感じました。



国境到着の余韻も冷めやらぬうち、
シアトルに流れ着きまして、
しばしのシティライフを楽しんでいます。

来週から北カリフォルニアへと戻り、
歩き残した区間を回収するつもりです。

しかし今回の北カリフォルニアの一時スキップの判断は正しかったと振り返ります。
国境付近のでは朝晩は既に5℃を下回る気温で、風が吹けば体感はマイナス以下でした。

雨予報のある朝はやけに大粒の雨が降ってきたなと思い空を見るとみぞれ雪が降っていました。

まだまだ降り積もるほどの降雪ではないにしろ、季節が進むにつれて歩くリスクが高まるのは間違いないでしょう。



そんなこんなで来週から歩き残した、
北カリフォルニアの800kmを歩いてきます。

概算で3週間ほどで歩ける距離なので、
旅も残り1か月程。

旅路が終わる最後の一歩まで、
楽しみ尽くしてきます!

MJでした。

タグ付けされているもの: MJ PCT便り

アメリカ西海岸縦断 4,265km

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